加藤剛さん死去 80歳 時代劇「大岡越前」、映画「砂の器」など出演
映画「砂の器」やTBSの時代劇ドラマ「大岡越前」などで知られた俳優の加藤剛(かとう・ごう、本名たけし)さんが6月18日に死去していたことが8日、分かった。80歳。静岡県出身。俳優座を拠点に、映画やドラマで活躍した。関係者によれば、葬儀・告別式は既に家族葬で執り行い、後日お別れの会を営む。昭和の名優がまた1人逝った。
1970年から99年まで30年の長きにわたって放送された「大岡越前」で主人公の江戸町奉行・大岡忠相(ただすけ)を演じ続け、お茶の間に親しまれた加藤さんが静かに天国に旅立った。
タバコも吸わず、酒も飲まず、人一倍健康に留意していた加藤さんだが、昨年12月19日に次男の俳優・加藤頼(らい、37)と一緒に出演したテレビ朝日「徹子の部屋」での激痩せぶりがネット上で話題になり、ファンを心配させていた。関係者によれば、亡くなった経緯などは「お別れの会」の日程が正式に決まってから家族が発表する予定という。
早稲田大学文学部演劇科で学び、4年時の60年に20倍の難関を突破して俳優座の養成所入り。62年にTBSドラマ「人間の条件」で主人公の梶を演じて一躍注目を集めた。64年に養成所を卒業して俳優座の座員となり、翌65年1月に安部公房作の「お前にも罪がある」で舞台デビュー。
知性あふれる二枚目ぶりは映画界やドラマ界からも注目され、野村芳太郎監督の「五辯の椿」(64年)や小林正樹監督の「上意討ち・拝領妻始末」(67年)に出演。平幹二朗さん、長門勇さんと共演したフジ「三匹の侍」では見事な剣さばきで魅了した。
以降も多くの映画、ドラマに出演。映画は熊井啓監督の「忍ぶ川」(72年)や和賀英良を演じた野村監督「砂の器」(74年)で存在感を示した。とりわけ、過去のあるピアニスト和賀英良を演じた「砂の器」は日本映画史にも残る名作として名高い。
ドラマの代表作となった「大岡越前」では、私生活でも親友だった医師役の竹脇無我さんを11年8月に亡くし、「天下の名医 榊原伊織が自らを助けることなく…」と手書きの追悼文でしのんだ。忠相役は2013年に東山紀之(51)にバトンを渡したが、昨年1月3日に放送されたNHK・BSプレミアム「大岡越前スペシャル 白洲に咲いた真実」に物語の鍵を握る浪人役でゲスト出演。新旧越前の共演で話題を呼び、加藤さんは「久しぶりの京都の撮影所。なじみのスタッフに迎えられてうれしかった」と感慨深げに話していた。
今春2月に公開された綾瀬はるか(33)と坂口健太郎(26)がダブル主演した映画「今夜、ロマンス劇場で」が最後の出演作となった。
加藤 剛(かとう・ごう)
1938年(昭13)2月4日生まれ、静岡県出身。
早稲田大卒。
62年、TBSドラマ「人間の条件」でデビュー。
65年に「お前にも罪がある」で初舞台。
01年に紫綬褒章、08年に旭日小綬章を受章。柔道2段。俳句をたしなみ、無類の猫好きでも知られる。女優の伊藤牧子(81)と68年に結婚。長男の夏原諒(43)、次男の加藤頼(37)も俳優。
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